年末年始、久しぶりに家族が揃う方も多いのではないでしょうか。
実家のリビングで顔を合わせたとき、築35年の家のあちこちが目に入る。廊下の床がきしむ。浴室のタイルに黒ずみ。窓は結露でびっしょり。「お母さん、この家、大丈夫?」と聞くと、「まだ大丈夫よ」と笑って返される。でも本当に大丈夫でしょうか。
親が70代、80代になれば、家の老朽化と親の高齢化が同時に進みます。実家をどうするか。親とどう暮らすか。この話を先送りすると、選択肢がどんどん狭くなります。
年末の家族会議で決めるべきは、「実家リノベ」「二世帯住宅」「新築」の3つの分かれ道です。今日は、それぞれのメリット・デメリットと、どう判断すればいいかを整理します。

選択肢1 実家リノベ──親が住み続ける前提で整える
実家リノベは、今の家に親が住み続けることを前提に、断熱・バリアフリー・耐震補強を施す選択肢です。
メリットは、住み慣れた家を残せること。親にとって、長年暮らした家は単なる建物ではなく、記憶の詰まった場所です。引っ越しのストレスもなく、近所付き合いも続けられます。
費用は、全面リノベで500〜1,000万円が目安。内窓・床下断熱・浴室改修・段差解消だけなら300万円以内に抑えることも可能です。新築や二世帯住宅に比べれば初期投資は少なく、既存の建物が使えるため工期も短い。
ただし、築年数が古すぎると限界があります。築40年を超えた木造住宅は、基礎や柱の劣化が進んでいることも多く、耐震補強だけで200万円以上かかることもあります。シロアリ被害が見つかれば、さらに追加費用が発生します。
また、リノベ後も親が一人(または二人)で暮らす場合、介護が必要になったときの対応を考えておく必要があります。子世帯が近くに住んでいるなら問題ありませんが、遠方に住んでいる場合、緊急時の対応が難しくなります。
選択肢2 二世帯住宅──同居の形態と費用分担がカギ
二世帯住宅は、親世帯と子世帯が一つの建物で暮らす選択肢です。実家を建て替える場合と、新しい土地に新築する場合があります。
同居の形態は大きく3つ。完全分離型(玄関も水回りも別)、部分共用型(玄関や浴室は共用)、完全同居型(リビングも共用)です。それぞれで建築費が変わります。完全分離型は4,000〜5,000万円、部分共用型は3,500〜4,500万円、完全同居型は3,000〜4,000万円が目安です。
メリットは、親の見守りがしやすいこと。子育て世帯にとっては、孫の面倒を見てもらえる安心感もあります。光熱費や生活費の一部を共有できるため、世帯ごとに別々に暮らすより経済的です。
一方で、プライバシーの確保が課題になります。完全分離型でも、生活音や行き来の頻度で気を遣うことは避けられません。また、将来的に親が介護状態になったとき、在宅介護の負担が子世帯に集中するリスクもあります。
費用分担も事前に明確にしておかないと、後でトラブルになります。建築費を親が全額負担するのか、親子で折半するのか、土地は誰の名義にするのか。相続時の取り扱いも含めて、家族全員で合意を取ることが不可欠です。
選択肢3 新築──子世帯が独立し、実家は別の道へ
新築は、子世帯が新しい家を建て、親世帯は実家に残る(または別の住まいに移る)選択肢です。
メリットは、親子それぞれが自由な暮らしを続けられること。子世帯は自分たちの理想の家を建てられ、親世帯も住み慣れた地域で暮らし続けられます。距離を保ちながら、必要なときに支え合う関係を築けます。
ただし、実家をどうするかが問題です。親が元気なうちは実家に住み続け、将来的に施設入居や相続が発生したときに売却するのか。それとも、今のうちに売却して資金を親の住み替えや子の新築費用に充てるのか。
実家が富山や高岡の中心部にあれば、売却も賃貸も比較的容易です。しかし、郊外や山あいの立地だと、買い手が見つかりにくく、空き家になるリスクがあります。放置すれば固定資産税や管理費がかかり続け、最終的に負の遺産になることも。
新築の建築費は、土地代を除いて3,000〜4,000万円が標準的です。2025年4月以降は省エネ基準適合が義務化されるため、断熱性能の高い家が前提になり、従来より坪単価が少し上がります。ただし、光熱費削減と補助金を考えれば、長期的にはコストパフォーマンスは高い。
判断基準は5つ──優先順位をつけましょう
どの選択肢を選ぶかは、以下の5つの基準で判断します。
1つ目は親の意思。親が「この家を離れたくない」と強く望むなら、実家リノベが最優先です。逆に「子どもたちと暮らしたい」と言うなら二世帯、「自分たちで何とかする」と言うなら新築です。親の気持ちを無視した計画は、後悔を生みます。
2つ目は予算。実家リノベなら500万円程度から始められますが、二世帯住宅や新築は数千万円単位の投資になります。親の資産(実家の売却価格、預貯金)と子の住宅ローン借入可能額を合わせて、現実的な予算を見極めます。
3つ目は立地。実家が駅近や市街地なら、リノベ後も資産価値が保たれます。郊外や過疎地なら、将来的に売却も賃貸も難しくなるため、二世帯や新築を別の場所に建てる方が合理的です。
4つ目は介護の見通し。親が今は元気でも、5年後、10年後はわかりません。在宅介護を想定するなら二世帯住宅、施設入居を前提にするなら実家リノベか新築です。兄弟姉妹で介護負担をどう分担するかも、この段階で話し合っておきます。
5つ目は兄弟姉妹の合意。実家リノベや二世帯住宅は、将来の相続に直結します。誰が費用を負担し、誰が実家に住み、相続時にどう精算するか。年末の家族会議で、全員が納得する形を探ります。曖昧なまま進めると、親が亡くなった後に揉めます。
年末に話し、年明けに動く──具体的なスケジュール
年末の家族会議では、まず3つの選択肢を並べて、それぞれのメリット・デメリットを共有します。この段階で結論を急ぐ必要はありません。「どれが良さそうか」の方向性を決めるだけで十分です。
年明け1月には、業者を呼んで現地調査を依頼します。実家リノベなら、耐震診断と断熱診断。二世帯住宅なら、土地の調査と概算見積もり。新築なら、土地探しと住宅ローンの事前審査です。
2月には、複数の業者から見積もりを取り、費用と工期を比較します。補助金の申請時期も確認し、間に合うスケジュールを組みます。3月末までに方針を固め、4月以降に着工できれば、年内または翌年春には完成します。
重要なのは、年末の家族会議で「話し合うこと自体」を決めることです。「来年また考えよう」と先送りすると、親の体力は落ち、家の老朽化は進み、選択肢はさらに狭くなります。今年の年末、実家のリビングで、この話を切り出しましょう。
※工期については、各業者やその繁忙の具合によって異なります。参考程度の情報として捉えてください。
失敗例から学ぶ──こんな家族会議はうまくいかない
よくある失敗は、「親の意思を聞かずに子が決める」パターンです。子世帯が「二世帯がいい」と押し切っても、親が本心では「一人で暮らしたい」と思っていれば、同居後にストレスが溜まります。
もう一つは、「兄弟姉妹の一部だけで決める」パターン。長男夫婦が実家リノベを進め、費用を親が負担したが、相続時に次男・三男から「俺たちにも権利がある」と主張される。こうなると、家族関係が壊れます。
さらに、「予算を考えずに理想だけ語る」パターンもあります。「二世帯住宅がいいね」と盛り上がっても、実際に見積もりを取ったら5,000万円で、親の資産と子のローンを合わせても届かない。結局、計画が頓挫します。
家族会議の成功の鍵は、「全員の意見を聞く」「現実的な予算を確認する」「書面に残す」の3つです。口約束だけで終わらせず、誰が何を負担し、将来どうするかを文書化しておきましょう。
まとめ──今年の年末、実家の未来を家族で決める
実家リノベ、二世帯住宅、新築。どれが正解かは、家族ごとに違います。
親の意思、予算、立地、介護の見通し、兄弟姉妹の合意。この5つの基準で、優先順位をつけます。完璧な選択肢はありません。どこかで妥協し、どこかで背伸びしながら、家族全員が「まあ、これならいいか」と思える着地点を探します。
年末の家族会議で決めるのは、細かい仕様ではありません。「実家をどうするか」の方向性だけです。それが決まれば、年明けから具体的に動けます。業者を呼び、見積もりを取り、補助金を調べ、春には着工できます。
親が元気なうちに、家族で話しましょう。実家のリビングで、お茶を飲みながら。「お母さん、この家、これからどうしようか」と、穏やかに切り出すようにしましょう。
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