こんにちは。
このブログでは、建築のプロが住宅のギモンをわかりやすく解説していきます。
現在、「リフォーム&リノベーション」シリーズを連載しています。
住宅を安心安全に、また快適なものにするため、ご自身に最も合った方法を検討できるよう、情報を提供してまいります。
今回のテーマはこちら!
■リフォームとリノベーション、メリットとデメリットはある?
今回はリフォームとリノベーション、それぞれのメリットとデメリットを隠さずお伝えいたします。
☆リフォームのメリット
1.コストが低い
リフォームは、多くの場合必要最低限の修理や交換だけを行うため、予算が限られている人にとっては大きなメリットです。
「とにかくここが気になる。ここだけ安く直したい!」という方は、リフォームを選ぶのがいいでしょう。
2.施工期間が短い
短いものなら数日~1週間程度を見ていただければよい工事が多くあります。
「キッチンを交換したいから、ついでに家全体をリノベするか」となると数か月単位で使用できなくなりますが、キッチン単体のリフォームなら数日ほどで普段のお料理を再開できます。
3.住宅のオリジナルな要素を保てる
家の全体的なデザインや構造を大きく変えずに、例えば水回りなど特定の部分を改善するならリフォームがよいでしょう。
生まれ育った家の思い出を保ちたかったり、家の元の風合いを活かしたい場合など、最低限の施工に済ませるのがおすすめです。
4.施工中でも生活への影響が少ない
小規模、短期間の工事であることが多いので、仮住まいの手配が不要なことが多くなります。
修繕する部分のほかは普段の生活を続けていけることは、リフォームで済ませるメリットといえるでしょう。
☆リフォームのデメリット
1.改善の範囲が限られる
部分的な修繕に範囲が限定されるので、抜本的な増改築や機能改善などはできません。
たとえば老朽化により家全体が傾いたり、時代の変化で間取りや設計そのものの不便が顕在化した場合はリフォームでは足りない場合があります。
2.資産価値の大幅な向上は期待できない
リフォームは不備や不便の部分的な修繕といったメンテナンス的な意味合いが強いので、経年による需要の向上が見込まれる物件以外は、価値が新築時以上に増えることにはつながりにくいと思われます。
あくまで「マイナスをゼロに戻す」ことを目指すものとお考え下さい。
3.古い構造や設備の問題は解決されない
たとえば耐震基準、あるいは配管や電気系統など建物の構造や深部にかかわる技術も時代によって更新されています。
古い時代に建てられた物件で、最新のものに劣った部分にはリフォームではアクセスできません。
顕在化したトラブルをリフォームで解決することはできても、将来的に根本的なリノベーションが必要になる可能性は残ります。
☆リノベーションのメリット
1.住宅全体の機能向上を行える
リノベーションは、住宅の間取り変更や最新の設備導入などを行うことで、居住性や機能性が大幅に向上できます。
オープンキッチン化、スマートホーム技術の導入、エコ住宅への変身など、安全性や快適性、環境への配慮に満ちた住宅への根本的なアプローチが可能です。
2.ライフスタイルに合わせた空間作りが可能
「家族が増えた」「自分のアトリエやシアタールームがほしい」「使わない部屋の壁を取り払って広い一室にしたい」
……様々なライフスタイルに応じて住宅を自由にカスタマイズできるので、より快適性の高い住宅にすることができます。
3.資産価値の向上が期待できる
耐震補強や配管、電気系統の根本的な改善によって建築物としての基礎的な価値や、デザインや設備を最新のものへと調和的にコーディネートすることで需要としての価値を向上することができます。
リノベーションが高額とはいえ、費用を向上した資産価値が上回った場合は売却時に利益が出ることも少なくありません。
4.建造物の寿命を延長できる
住宅の深部における根本的な修繕は、売却目的だけでなく長く住む場合にも有利に働きます。
特に耐震補強は震災への対策になることで、昨今人気が高まっています。
☆リノベーションのデメリット
1.コストが高い
リノベーションは大規模な工事を伴うため、費用が高額になることが多いです。
数百万円から、場合によっては数千万円に達することもあり、予算を大きく超えることもあるので、計画段階でコストの見積もりをしっかり行いましょう。
2.施工期間が長い
工事が大規模であるため、施工期間が数ヶ月に及ぶことがあります。
施工中は仮住まいを用意する必要がある場合も多く、生活に一時的な影響が生じる可能性があります。
3.予期せぬ問題が発生することがある
ここが最も注意していただきたい点かもしれません。
たとえば、古い配管が壊れかけていたり、構造的に特殊な問題が見つかるなど、事を進める過程で予期しなかった問題が発生することがあります。
放っておけば大きなトラブルになることが多いので、修繕するに越したことはないのですが、リノベーションには常に追加の工事や費用が発生するリスクが伴います。
4.理想通りのリノベーションが難しい場合もある
メリットの項目に「自由にカスタマイズすることできる」と書きましたが、それでも際限なく理想を描けるわけではありません。
耐震性を確保するために壁を取り除けなかったり、既存の配管や電気系統の関係で、希望する間取り変更が制限されることがあるのです。
☆まとめ
リフォームは、建造物の浅い部分の補修・保全にかかわる工事が多いため、安価かつ短期間に行えます。
そのため比較的お気軽に検討することができるかもしれませんが、住宅の根本的な改善は難しくなります。
対してリノベーションは、住宅を自由にプロデュースし、価値を高めたり寿命を延ばしたりすることができます。
しかしコストも高く長期間を要することもあり、場合によっては当初の予算以上に費用や期間のかさむ可能性があります。
こうして考えると、リフォームとリノベでは大きな違いがありますね。
どちらを選ぶかによって検討の段階から適切な意識や方法が変わってくるでしょう。
そのなかで、次回は、リフォームやリノベーションを検討する上での注意点をお知らせします。
これまで知っていただいた情報をふまえて、ではお客様がどのようなことを意識して計画を立て、検討を重ねればよいかをお知らせあします。
これを知れば、業者との相談や見積もり、施工中のすり合わせでも不利を被ることが激減するかと存じます。
どうぞお楽しみに!
アクスプランニングは富山県全域で、建築、リフォーム、リノベーション、エコ住宅化に実績がございます。
富山で新築や修繕、増改築をご検討の方は、ぜひ、アクスプランニングまでご相談ください。